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婚前契約書が日本で浸透しない主な理由

婚前契約・婚中契約

 

 離婚の際の離婚協議書というのはご存じかと思いますが、離婚の意思が双方または一方に発生しているのにも関わらず、円満に協議をするというのは不可能に近いケースもあります。結婚が決まってラブラブの時や結婚中のラブラブの時には思いもしなかった離婚時のお互いの感情で、協議がまとまらずに平行線という夫婦も少なからずいます。離婚の意思は固まっているのに、二人の財産の帰属(財産分与)についてや養育費等の子供の事等は、お互いに譲らず裁判まで進む事もあります。そういう場合の為に、婚前契約、婚中契約(婚後契約)があります。

 離婚は後ろめたいという感覚の無い某先進国では、婚前契約書を作るのは当たり前な話です。日本でも、離婚は今や普通の出来事のような時代になっています。最近の若い人は、婚前契約書を作るという事も珍しくありません。離婚をするという30代の方から、婚前契約をしておいて良かったという話を実際に数人から聞いています。本当に驚きです。

 

 話は変わりますが、これまでの民法では、婚姻前に契約をしておかなければ効力が無かったのですが、2024年5月の改正で婚姻後にも契約ができるようになりました(施行は2年以内)。日本でも離婚が当たり前の時代になり、離婚時の協議でもめて離婚がいつまでもできないという事を避ける意義による改正なのではと思います。

 予め財産や子育て、婚姻費用、家事分担、相続、老後、その他について決めておくのも愛の証であり、二人の誓いの言葉を形にした宝物になるのかもしれません。

 結婚後の生活や万が一のトラブルに備えるため、婚前契約書の作成を希望される方が増えています。日本橋行政書士あおき法務事務所では、法的に有効な婚前契約書を作成します。どのようなご事情でも、秘密厳守で対応いたします。まずはお気軽にご相談ください。

 

 

【婚前契約書が日本で浸透しない主な理由】

 

  1. 文化的・心理的な抵抗感

    • 「結婚は愛情で成り立つものであり、契約は愛を冷ますもの」という価値観が根強くあります。

    • 結婚前に「万が一の離婚」を想定して話し合うこと自体に抵抗を感じる人が多く、タブー視されがちです。

  2. 法制度への理解不足

    • 婚姻によって財産がどう取り扱われるのか、民法上の「共有財産・特有財産」の考え方が十分に知られていません。

    • 婚前契約書が有効であることや、公正証書化による法的効果についての理解が一般に浸透していません。

  3. 専門家への相談のハードル

    • 弁護士や行政書士に依頼することに「費用が高そう」「難しそう」と感じる人が多く、気軽に相談しにくいというイメージがあります。

  4. 事例・モデルケースの不足

    • 有名人以外での利用例が少なく、身近に感じられないため、参考にできるモデルや導入事例が乏しいことも障壁となっています。

  5. 制度としての整備不足

    • 法的には婚前契約は有効ですが、アメリカなどと比べると、制度的な運用ガイドラインや一般化されたモデル契約の整備が不十分です。

 

 このような要因により、日本では婚前契約書の作成がまだ少数派です。1と2が大きい理由だと思います。しかし、財産管理や離婚時のトラブル防止の観点から、徐々に関心が高まってきている分野でもあります。

 

日本橋行政書士あおき法務事務所 代表 青木敏孝

 

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