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自筆証書遺言(民法968条)

 遺言には特別遺言4つ・普通遺言3つの形式がありますが、世間一般にイメージされてる遺言が、この自筆証書遺です。要件は4つ。①全文を自書、②日付を自書、③署名、④押印、です。ざっくりとご説明致します。

 

①全文を自書

 自筆証書遺言なので、読んで字のごとく、全文を自書する必要があります。これは、他人や相続人がが成りすまして自己に有利な相続分や遺贈について書くのを防ぐ為です。当然、パソコン等の打ち込みは認められません。筆跡鑑定で確かに本人が書いたものだと解るように、そして、確かに故人の意思が書かれたものだという証明の為です。

 

②日付を自書

 自筆証書遺言なので、当然、日付も自書しておかなければなりません。日付は非常に重要で、ご高齢で物忘れが多くなった、認知症で記憶が曖昧な事がある、そんな時期に書かれた遺言は本当に遺言者の意思に合致しているのかが問題になります。本人の意思が弱い時に、忘れてしまう事を逆手に取り、あの手この手で自分に有利な遺言を書かせたりする人達がいるからです。絶対に財産を残したくないと思っていても、意思が弱い時に良い人を演じて、自分に都合良い遺言を書いて貰ったり、財産狙いの輩が遺贈について書かせたりできてしまうからです。日付が書いてあれば、まだ意識がハッキリしている時の遺言だと判断できます。ワープロやパソコンプリントだと、日付部分を上手く差し替えれるので、本人の筆跡で残しておくのです。

 また、日付は遺言内容の確定にも重要な意味を持ちます。遺言書を、複数残していた場合に問題が起こります。それぞれの内容が違った場合です。痴呆になる前に書かれた遺言が複数あると、それぞれの関係者は、自己に都合の良い遺言が真の遺言だと主張し、遺産分割が進みません。いやいや全部兄貴で構わないとか、お前が親の面倒みてたからお前がとか、自分は要らないから上手く分けてくれとか、そんな場合は問題になりませんが、たいていは相続人だけなら丸く収まる事が、その配偶者が横槍を入れてきます。一旦まとまっても、家に帰ったら旦那が、、、嫁が、、、なんて事に。相続に関係ない外野が、貰えるものは貰えるだけ貰え的な感じになってしまうのです。そこで、日付が重要になってきます。日付の最も新しい遺言、つまり最後に書いた遺言が、故人の最後の意思という事になります。○○にこれこれ、△△にこれこれと書いたものの、〇〇に残し過ぎかな?少し減らすかとか、逆に〇〇には少なかったからこれもとか、〇〇は最近冷たいしイライラさせるから残したくないとか、一度遺言を書いても心境の変化が起こり、遺言書を書き直す事があるからです。その際に、前に書いた遺言書が残ってしまっている場合に、日付が重要になってくりのです。

 ですので、〇月吉日とか、〇月大安とかはダメです。日にちまで書いておかないと、ダメなのです。

 

③署名

 自筆なので、自分で名前を書かないといけません。自分の意思を明確にし、確かに自分が全文を書いたという意味で署名します。

 

④押印

 これは日本文化の名残でしょうか。本人確認の意味で考えれば、今どきは100均でも売ってるので、どうにでも押せてしまいますね。実印でなくても構いません。条文では「印を押さなければならない」となっているので、押す必要があるのです。その遺言書は偽物だ!と争われるような場合には、役所に登録してある実印で押印する方が、本人の意思で書いた上に本人が持っているという前提の実印が押されてるなら、遺言書は有効との判断がされやすいかもしれません。因みに、拇印や指印でも有効です。というか、本人性の担保なら、そちらの方が良いような気がしますね。

 

 自筆証書遺言の大きな要件は4つですが、訂正の仕方も民法で決められてます。

 

 財産目録を作成しておくと、相続財産が明らかになり分かり易いです。この財産目録は、改正で自書しなくても良くなりました。財産がたくさんある方は、パソコンにデータ保存しておいて都度変更修正できるので便利になりましたね。ただし、パソコンや通帳の写し等の資料には、全て署名押印が必要です。

 

 また、遺言では、遺言執行者を指定できます。信頼できる相続人や専門家を指定しておくと、遺言内容をスムーズに実現できます。

 

 自筆証書遺言は、誰にも知られずに残せ、いつでも気軽に書いたり修正できたりします。その反面、形式不備で有効性が問題になったり、表現が曖昧で解釈の争いになったりの、死後に相続人間で紛争になる事もあります。せっかく書いた遺言書の保管場所が判らず発見されずじまいなんて事や、悪い相続人に偽造・隠匿されるなんて事にもなります。

 

 現在は、偽造・隠匿・破棄されないよう、法務局で保管してくれる制度もスタートしてます。法務局で保管してもらってる場合は、家庭裁判所の検認という作業が不要です。検認とは、遺言書の有効性の判断をする訳ではありませんんが、遺言書の内容を明確にして偽造・変造を防止する作業です。

 

 自筆証書遺言でも、法務局の保管制度を利用すれば検認は不要です。3つの普通遺言の中で、自筆証書遺言以外の公正証書遺言・秘密証書遺言も検認が不要です。

 

 令和2年7月10日から、自筆証書遺言を法務局で保管してもらえる制度がスタートしました。紛失のおそれや遺言書を発見できないトラブルを回避できます。保管してもらえるのは、自筆証書遺言のみです。

 

 遺言の内容をどう書けば良いのか分からない、書く際のアドバイスが欲しい、遺言執行者を選任をしたい、等々の際には、お気軽に幣事務所にご相談頂ければ幸いです。

 

遺言については、初回相談60分無料です(面談できる方に限ります)

 

面談は、弊所、ご自宅、喫茶店、コミュニティースペース、等々、ご都合に合わせます。

 

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