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外国人の在留資格申請をしてから、どれくらいで許可が出るのか?

申請から結果が出るまでの審査期間は?

 

 出入国管理庁で審査処理期間を公表しています。公表されている標準審査期間は全国平均です。東京入管の審査期間はかなり長くなっています。

 入国管理庁の審査処理期間ページはここをクリック

 

  在留資格申請を依頼され、1カ月もすると毎日のように「まだですか?」と問い合わせてくる方がいますが、それは僕の腕やミスってるから遅いのではありません。暇なのかな?と思うほど、毎日聞いてくる人もいますが、正直、営業妨害です(笑)入管のホームページにも、審査の進捗状況の問い合わせは、業務に支障が出るので控えるようお願いがあります。東京入管に1日に何万人もの人が進捗状況を問い合わせたら、本来の大切な問い合わせの対応もできませんし、何もせずに1日が終わってしまします。審査なんてできません。弊所だって同じです。結果が出るまで黙って待っていてください。業務に支障がでます。特別な事があれば、入管も弊所もこちらから連絡します。例えるなら、受験日に試験を受けてから結果発表日までの間に、合格してますか?と問い合わせるようなものです。

 

 とは言うものの、海外から外国人労働者を入社予定日までに呼ぶ企業や、更新期間前に日本人と結婚して身分系在留資格申請をした方にとっては、入社日に間に合わず業務に影響が出る、在留期限が切れてしまう、そんな不安に駆られるのも当然です。審査処理期間を公表しているとは言え、それより長いじゃないか!と心配にもなるでしょう。なぜ審査が長いのか?には理由があります。

 

○エリアによる理由

 日本全国の入国管理庁支局によって、審査期間は違います。それは、在留資格申請数が違うからです。もちろん、審査官や職員の数も違いますが、急激に在留外国人が増えた中でも東京は圧倒的に増えてます。外国人を採用する企業も東京に多いですし、就業場所も東京が多いです。住んでいる外国人が多いので、日本人等配偶者(国際結婚)や家族滞在(外国人の家族)、永住のような身分系の在留資格の申請も多くなります。

 2024年末の全国の在留外国人は377万8649人。そのうち東京の在留外国人は73万8946人。全員が認定で初めて来日したわけではありませんし、更新申請したわけではありません。更新の無い永住の人もいるでしょう。それでも、かなりの人数です。

 更に、東京への外国人観光客の数は2024年は、のべ人数で約2479万人です。日本に在留している外国人観光客もいるでしょうし、何度か訪れた外国人もいるでしょう。ビザなし渡航ができる国の外国人も多いでしょう。でも、観光ビザを取って入国する外国人もかなり多いはずです。上陸地が東京で無くても、観光会社が東京に多いので、東京入管に申請する事が多いとも言えます。

 このような理由から、東京入管への申請件数が増加しているため、東京入管の審査期間は長期化する傾向があります。特に深刻な審査期間の長期化の例では永住申請で、審査に1年半以上かかるケースがあります。

 因みに、東京入管の2024年12月時点での受理件数は約5万2500件、審査済件数は月に約3500件とされています。この時点で申請しても、単純計算で15カ月以上かかる計算です。2025年も永住申請が増えているので、既に1年半以上かかったという外国人もいます。

 

○申請時期による理由

 日本では4月から年度代わりなので、留学ビザや就労ビザで4月に合わせて来日する外国人が多いです。4月の就職時期に向けて年明けから就労資格の申請が増加します。日本語学校や大学の留学も4月や10月に向けて申請が増加します。そのため、申請者が多くなっても審査処理は変わらないので、審査待機が増え審査が長期化する傾向にあります。

 既に来日している外国人も、最初は4月に合わせて在留資格を取得した人が多いので、最も多いであろう在留期間1年の外国人の更新時期も重なります。このようなことから、4月に合わせて年明けから申請すると4月には間に合わないケースも少なくありません。因みに、日本人等配偶者の在留資格の審査は永住部門なので、3カ月から5カ月かかっています。

 

○個別事情による理由

 初めて外国人を採用する事業者様や、国際結婚なので初めて在留資格について知ったという方は、簡単に考えている場合が多いのですが、在留資格申請は書類が揃えば即OKとなる許可制度ではありません。外国人一人一人の事情や状況はもちろん、企業や配偶者の事情や状況も審査されます。偽装申請を防ぎ、違法滞在者を排除する審査なので当然です。

 例えば、ある企業が外国人を採用する場合、その企業の職種と外国人の経歴や経験でのスキルが一致しているかが審査されます。経理で雇うのに、日本語もできない会計知識も無い外国人を採用する事は無いでしょう。技術者として採用するのに、その外国人がその分野の勉強もした事が無かったり経験も無いのに採用は変でしょう。その為、膨大な量の。外国人についての証明書類や会社の書類を提出しなければなりません。入管のホームページに記載ある書類は最低限のものなので、個別に証明書類を提出したり、作成したりする必要があります。プロは個々の事案についての審査点の想定が解るので、予め提出します。それでも追加資料を求められます。

 このような事から、個々によって審査期間が変わってきます。日本人等配偶者のような身分系の在留資格は、特に偽装を疑い排除するよう審査されます。

 

 

 

  多くの国にビザなし渡航ができる日本人と違い、外国人の方が審査が長くても焦らず結果を待つようなスタンスのような気がします。申請が受理されてから、3カ月経っても問い合わせすら来ないので、こちらが心配になって「まだ結果がでてませんが、ご心配なく」と連絡するような事もあります。在留資格申請が最初は不許可で、3回目の申請で就労が認められたという外国人なんかは、そういうもんだと思ってこちらから連絡するまで音沙汰無しです(笑)

 一方、外国人を採用する事業主や日本人の配偶者の方は、1カ月も過ぎると毎日問い合わせてきたりします。入管でも審査業務に支障が出るので、進捗状況の問い合わせは控えるようにお願いしてます。特定の人だけ審査が遅れているという事はありません。

 許可見込み期間の見通しの認識が無かった企業や、期間更新直前に身分系に変更申請する場合の方の認識不足です。もっとも、企業の場合は日本人採用と同じような採用スケジュールで、年末までに人材紹介会社から紹介してもらえば4月に間に合うという認識と、外国人を紹介さえすれば金になる悪どい紹介会社のミスマッチの感もあります。4月には間に合わないと解っていて紹介し、予め説明せずに後になって入管の審査が遅いのでーと誤魔化すような紹介会社が存在します。

 不安にならないようにするには、認定申請であれば来日予定の3カ月前に許可がでるようなスケジュール感(来日予定4カ月~5カ月前には申請)、更新や変更であれば期限の3カ月前には申請するスケジュール感を持つ事が望ましいです。

 書類集めに1カ月~2カ月を費やし、結局は直前の申請になってしまうなんて事もありますし、採用の要件が満たされてなくて申請ができなかったなんて事もあります。せっかく受理されても、実際の要件が揃ってなくて不許可になるケースもあります。外国人採用について心配であれば、前もって専門家にご相談される事をお勧め致します。

 

○東京入管の審査期間例 

例:就労系(技術・人文知識・国際業務、特定技能、経営管理、等):3か月~6カ月

  身分系(日本人等配偶者、家族滞在、等):3か月~6カ月

  永住:1年3か月~1年6カ月

  更新:2カ月~4カ月