出入国管理庁では在留資格の認定・更新・変更などにかかった期間を公表しています。行政の処理にかかる期間を標準処理期間と呼び、審査期間の目安として公表しています。在留資格に関しては「審査処理期間(日数)」として月毎に公表しています。
現在の東京入管の審査期間は、問題になるくらい長くなっています。中でも身分系と呼ばれる永住ビザ、日本人配偶者等ビザ、家族滞在ビザは長くなります。その理由は、東京での永住申請者が一気に増加し、同じ審査部門である国際結婚での日本人等配偶者ビザや家族滞在ビザの審査にも影響するからです。外国人が少ない地方は、東京よりは早いです。いずれにせよ、結果が出るまでは気長に待つしかありません。
✅ 在留資格申請から許可までの標準的な期間(目安)
1. 在留資格認定証明書交付申請(海外から呼び寄せる場合)
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標準処理期間:1〜3か月程度(職種や国籍によりさらに長引くこともあります)
例:技術・人文知識・国際業務:1.5〜2か月
経営・管理:2〜3か月
留学:1〜2か月
特定技能:2〜3か月
2. 在留資格変更許可申請(日本国内で別の資格へ変更)
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標準処理期間:1〜2.5か月程度 ※内容によっては3か月以上かかることも
例:留学 → 技術・人文知識・国際業務:1.5〜2か月
配偶者ビザ → 永住者:1年6か月以上かかることも
3. 在留期間更新許可申請
●標準処理期間:2週間〜1.5か月程度
※更新は比較的スムーズなことが多いですが、職種変更や勤務先変更がある場合は長くかかることがあります。
📌 処理期間が延びる可能性や傾向があるケース
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書類が不備・不明確な場合(追加資料の提出要請が来る)
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審査が厳しい在留資格(「経営・管理」や「特定技能」など)
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配偶者ビザなど、実態確認を要する案件
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年末年始・ゴールデンウィーク・お盆・申請者が多い年度代わりなど、入管の繁忙期
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審査対象の国籍が重点監視対象国の場合
💡 ワンポイントアドバイス
・「標準処理期間」はあくまで目安であり、特に東京入管では標準処理期間よりもかるかに長い
・許可が下りるまでは「仮承認」ではないため、仕事開始・入国などはできません。
・スケジュールには余裕をもって動くことが重要です。
相談者、特に初めて外国人を採用する企業の担当者や日本人配偶者は、申請すれば直ぐに許可が出ると思っているような傾向があります。実際には、受理されてから審査が開始されるまでが1カ月以上待ちなんて事は当たり前です。インバウンドや外国人労働者の増加で日々の申請者が増加している東京では、結果が出るまでにはかなり長い審査になる事は予め覚悟して下さい。
今年の相談者で、自分で申請したが審査が遅いのでお願いしたい、結果が遅いので行政書士を変えたいという相談が何件かありました。自分で申請した場合は、書類不備や記載ミス、追加資料も何度か提出するという事が起こりうるので、最初から専門家に頼んでいれば早まった可能性はあります。しかし、取り下げて再申請すると、また審査までに時間がかかるので得策ではありません。結果を待つしかありません。
行政書士に頼んでいるけど結果が遅いというのも、行政書士のせいとは言い切れません。個々の事案について予め審査官が気にするポイントについて予備書類を作成して提出するような専門家であれば、審査開始から許可が出るまでの期間はスムーズに短めだと思います。予め追加資料が必要になる想定ができない専門家に依頼した方も、そのまま結果がでるまで待った方が早いです。気が利く専門家が追加資料の想定をして予め作成添付しても、追加資料を求められるくらい今の審査は厳しくなっています。
〇実際に相談があった事例(2025年)
・3月の相談~人材紹介会社を通して外国人の雇用契約をしたが、就業時期が迫っているのに許可が出ない。
昨年の12月に特定技能の外国人を紹介され4月から就業の雇用契約を結んだが、在留許可が出ないのでお願いしたい。
これは、人材紹介会社が日本語テストや特定技能試験に合格していない外国人を紹介した事、登録支援機関が協議会に加入の必要がある分野なのに加入していなかったために、3月になっても提携行政書士が在留資格申請をがしていなかった事案でした。人材紹介会社、登録支援機関、行政書士の悪だくみに引っかかったケースです。こちらは、テクニック的なもので弊所が3月に申請し、6月中旬に許可が出ました。
人材紹介会社が、当初から特定技能の在留資格要件を満たす外国人を紹介していれば4月に来日できて就業していたはずでした。紹介した時点では特定技能試験に合格しておらず、特定技能試験と日本語テストは3月末に合格しました。どう考えても、4月から日本では、就業できませんよね。登録支援機関も協議会に加入してないと支援業務が行えない事を知らなかったようで、特定技能外国人の在留資格申請の際に「協議会に加入している証明書」が必要な事も解ってませんでした。提携していた行政書士が、それを指南していなかった時点で素人なのか、解っていて入管の審査が長いって言っておけというような悪質な行政書士なのかはご想像にお任せ致しますが、僕はどちらかは解っていますw
・8月の相談~2024年12月に技術・人文知識・国際業務を本人申請したが2025年8月時点で許可が出ていない。
日本に留学していて就業経験もある中国籍の方が、12月に本国である中国から就労ビザの本人申請をした。4月に就業予定だったが、8月になってもまだ許可が出ない。取り下げるので申請代行をお願いしたいとの相談。聞き取りをしたところ、最近、追加資料を提出したとの事だったので「審査は進んでいるので、そのままお待ちになった方が早いですよ」とお答えしました。
追加資料を提出する際に、資料が届いても1カ月は審査はしないと言われたとの事でしたが、審査官もどんどん処理していかないといけないので、今抱えている審査中の案件を途中で止めずに処理した後で、追加書類の案件に戻る方が効率が良いと思われるので仕方ないかとは思います。取り下げて再度申請しても、受理されてから実際に審査してもらえるのは、同じように1カ月後くらいになるので、そのまま待っている方が早いと思います。悪徳業者なら、任せてくださいなんて言って、申請から3カ月くらいで許可が出て、いつまでも許可が下りませんでしたよ~、なんて言うのかもしれませんね。
・8月~昨年の秋に経営管理ビザの申請をしたが、今年の8月になっても許可が出ない。
経営管理ビザについては、簡単に在留できる資格としての悪い認識が広まり、悪用申請する外国人が大挙申請している事もあり、審査の順番待ちで審査開始までに時間がかかります。また、審査も厳しくなっているので長くなります。当初の在留資格をサポートしてもらった本国の業者に協力してもらって書類を揃え、本人申請したとの事でした。脱法在留に使われていると批判され、10月から要件も運用も変わる事になった経営管理ビザ。既に審査は厳しくなっています。こちらも気長に結果を待つしかありませんね、とお答え致しました。
自分で申請して不許可になった、追加資料が多くて時間がかかる、そんなご相談が増えています。相場として10万円くらいの申請ですので、労力や技術、時間を考えれば、早めに専門家に相談した方が無難かと思います。再申請のリカバリーも大変ですし、専門家に申請のスケジュールを立ててもらう事をお勧めいたします。日本橋行政書士あおき法務事務所では、豊富な実績から個々の事情や申請時期から審査期間を想定したスケジュールのアドバイスをしております。お気軽にご相談下さい。
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