ある問題について、苦しみ、思いわずらっている状態が「悩み」です。その「苦しみ」が取り除かれ、あれこれと考えることがなくなれば、「悩み」は解決した状態になります。
私宛ての悩み相談のメールを分析すると、ほとんどが同じ形式で書かれています。
「上司との人間関係で悩んでいます。どうしたらいいでしょうか?」
「うつ病で3年間治療していますが、一向によくなりません。どうしたらいいでしょうか?」
「朝起きるのがものすごくつらいです。何かいい方法はありませんか?」
つまり、「どうしたらいいか?」という「対処法」「解決法」を知りたいのがほとんどの「悩み」の共通点です。
方法や対処法がわからず、現状から好転するメドが立たないので、不安だ。心配だ。気分が落ち込む。苦しい。同じ考えが堂々巡りする。それが「悩んでいる」状態です。
では、どうすれば悩みを解決できるのでしょうか。
悩み解決の手順は、簡単です。対処法や解決法を知る(Know)。そして、それを実行する、行動する(Do)。それだけです。
対処法を知る方法は、「自分で調べる」(自力で解決)と「人に相談する」(他人の力を借りる)の2パターンしかありません。
濃い霧の中を歩いていると、目的地に到達できるか不安になります。「この先どうなるんだろう」「どうすればいいんだろう」という先行き不透明感です。
霧が晴れて、遠くに目的地が見えたらどうでしょう。後は、そこまで歩いていくだけです。「こうすれば、解決する」という明確な対処法、解決法が見えると、霧は晴れます。目的地が行けそうな場所に見えてくるのです。
(1)悩みを書く
まず、自分の悩みを、できるだけ詳しく紙に書き出します。「上司との人間関係」「上司によく叱られて雰囲気が険悪」「仕事のミスが多い」と、箇条書きでよいので書き出します。とにかくできるだけ多く書くことです。詳しく書けば書くほど、悩みはより短期間で解決されます。
次に、その箇条書きの項目で文章を作りましょう。文章化するコツは、人に相談するイメージです。
(例)「私は、上司(課長)との人間関係で悩んでいます。上司は、私のちょっとしたミスに過剰に反応します。そんなことで、いちいち怒らなくてもいいのに。1日1回は怒られています。気分もへこみます。正直、会社に行きたくありません。どうしたらいいでしょうか?」
こんなふうに自分で悩みを文章にまとめてみましょう。それを読むと、自分の状況や心理を、冷静に見られるようになります。アウトプットすることで、客観視が可能となり、自己洞察が深まるのです。
悩んでいる多くの人は、「つらい」「苦しい」「たいへん」とネガティブな感情に支配され、思考停止してしまい、自分が何に悩んでいるのか、原因が見えなくなっています。そこで「悩みを書く」ことで、自己を客観視できるのです。
(2)対処法を調べる
自分がどんなことで悩んでいるのか把握できたら、次は対処法を探します。本書では、昔から誰にもありがちな悩みを紹介しています(自分に当てはまる項目と、おすすめの関連書を紹介しています)。
本を読むときのポイントは、「ToDo」を3つ見つけることです。自分ができそうな「ToDo」を探すように読み、ノートや手帳にそれを書いてください。対処法を調べる場合、「まずはネットで調べる」という人が多いと思いますが、情報が薄くてダイジェスト的で、信頼性も不十分です。根拠もなく間違った情報もよく書かれています。必ず「本」を使ってください。
(3)やってみる
対処法がわかったら、とにかくそれをやってみることです。それを最低でも「1~2週間」は実行してください。
「できません」「続けられません」という人は、「3つのToDo」の書き方が間違っています。前項で説明したように、簡単に実行できるように行動を細分化してハードルを下げて、「できそうなToDo」に書き換えて再チャレンジします。「やっている」「動いている」「行動している」など、脳科学的には何かをしていることが重要です。
(4)評価する(フィードバック)
1~2週間が経ったら、「3つのToDo」がどこまでできたかを評価します。
評価の手順1 うまくいっていない理由を3つ書く
評価の手順2 うまくいっている点を3つ書く
評価の手順3 次のToDoを3つ書く
もちろん3つ以上書ける人は、たくさん書いてください。多ければ多いほどよいのですが、最低でも3つ書いてください。必ず「ネガティブ」を先に書き、「ポジティブ」は後に書きます。そうすると、書き終わった後の気分がポジティブになります。
次のToDoが翌週の目標になります。それを1週間かけてやってみて、1週間後にまた評価(フィードバック)を行います。これを繰り返します。2~3週間行うだけで、かなりの効果が現れてくるはずです。「悩み」をすべて「ToDo」に置き換える習慣を身につけましょう。
はじめに―「ストレスフリーな人」になろう
序章 すべてのベースとなる「解決法」
1章 他人ではなく「自分」を変える
2章 「仲間」と「家族」が活力となる
3章 「天職」を求め、「やらされ仕事」から抜け出す
4章 「疲れない体」を手に入れる
5章 心を整え、「新しい自分」にアップデートする
終章 精神科医がたどり着いた「とっておきの考え方」
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