●造作等譲渡(居抜き)契約の注意点
居抜きの際の契約は、①既存の店舗や事務所などの賃貸物件を借りる際に行われる賃貸借契約と②店舗や事務所内の什器や備品の売買である造作等譲渡契約の2つの契約が成立する必要があります。物件の賃貸借契約が成立しないと居抜契約は成立しません。不動産業界では居抜きと呼ばれますが、店舗内の備品や什器等の設備、すなわち造作物等の譲渡契約なので法律上は造作等譲渡契約などと呼ばれます。居抜契約での注意点をいくつか挙げますが、具体的な契約内容によって異なってくる場合がありますので、専門家のアドバイスを参考にして下さい。
1.居抜きは、①居抜きをする人と物件の賃貸人との賃貸借契約 ②居抜をする人と今現在の物件の借り手である造作等の売り手との、
二つの契約をする必要がある。居抜きたい人は、お店を売りたい人との居抜き契約が成立しても、物件の大家さんが物件の賃貸借契
約を結んでくれないと居抜きができない事になります。物件の大家さんからすると、経営が安定して家賃を振り込んでくれる人でな
いと契約してくれませんし、保証会社も保証してくれずに賃貸借契約ができずに、結果として居抜きができません。
2.居抜きたい人とお店を売りたい人との間での造作等譲渡契約での造作等について、現状を細かく確認し、引き継ぐ予定の設備や什器
の状態や動作確認について目録にする必要があります。現状の欠陥や故障、不具合について明示的に記載します。通常は現況優先で
それ込みの価格で造作譲渡契約が結ばれます。
3.造作等については設備の修理やメンテナンスについての負担や、現況の物件の修繕についての負担の責任を買い手か売りのどちらが
責任を負うかを明確にしておく必要があります。造作等についての後々のトラブルや、大家さんと新たに賃貸借契約を結ぶ際にトラ
ブルを避けるためです。細かい気になる造作等の部分については売主と買主で、賃貸借契約については大家さんと新賃貸人(買主)が旧
賃貸人(売主)協力の下で決めます。
3.売り手の方が近隣で同様の営業をしない競合業種出店の禁止や、新たに引き継ぎ経営をするまでに顧客や関係者にDMを送ったり紹
介したりするような事も条項に盛り込んだり引き渡しまでに行う約束をする場合もあります。買う側としてはそれまでの顧客を見込
めるし、売る側としてはお世話になったご挨拶をする事で顧客に不便をかけずに引き継げる上、売買価格も上がったりします。
4.場合によっては、賃貸借契約の不成立を解除条件として先に造作等譲渡契約を締結する事もあります。造作等譲渡契約が成立しても
大家さんや保証会社の審査が通らずに、新たな賃貸借契約が結べないケースも実際に少なくありません。造作等譲渡契約を先に有効
に成立させておく方が居抜き後の準備に向けて動けるので、売主と買主の双方に都合が良い場合もあるからです。
自分で知人を通じて売手・買手を見つけて契約を進めるのがベストですが、居抜サイト利用の場合でもいい加減な居抜き業者に都合
の良い契約書の場合もありますので、契約内容の確認等の法的サポートを専門家へご相談する事をお勧め致します。
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