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造作譲渡契約

造作譲渡とは

 通常の賃貸借契約は賃借人と賃貸人との間で締結される契約ですが、この造作譲渡契約については、多くの場合、以前の賃借人と新しい賃借人の間で結ばれるものです。物件自体の賃貸借契約とは別の話になります。造作譲渡とは、造作物と呼ばれる、店舗の内装・外装や、厨房機器・排気設備などの設備をそのままの状態で残し、次に物件を利用する経営者へと譲り渡すことです。造作物を譲渡するので、「造作譲渡」となります。

 

造作譲渡の場面

 造作譲渡が必要となる状況は、自分が経営していた店舗を閉店する時です。自分の経営していたお店を閉店する時、原状回復つまりスケルトン状態に戻す工事をするとなると、費用がかかります。しかし、造作譲渡をして「居抜き物件」として売却する場合は、逆に売却・譲渡によって利益を出すことができます。また、新しくお店を始めたい方にとって、内装工事の大きな負担を減らす事が出来ます。

スケルトンと言われるまっさらな状態から店舗作りをするよりも、数百万円から数千万円も開業資金を抑えることが出来るケースもあります。

 

造作譲渡契約合意のタイミング

 打合せで重要なのは、譲渡価格の他に物件の明渡しの時期です。明渡しまでに2ヶ月以上時間を要する場合があります。その場合は最初に事情を説明しその時期での明渡しを造作売買の条件とすればいいでしょう。大家さん(賃貸人)からも契約変更の承諾がでて晴れて成立となるのですが、造作譲渡契約が成立しても大家さん(賃貸人)の承諾を得られないと、造作物を買い取っても営業ができません。予め、経営者が変わり新賃貸人と賃貸借契約を結べる、又は賃貸人の地位を承継できる承諾を大家さんから貰えるかどうかを確定してから、造作譲渡契約を結ぶようにする方が新賃貸人にとっては無難です。